ベルギー・EU動向(2011121日〜31日)

ジェトロ・ブリュッセル事務所

 

1.    ベルギーの政治動向

2.    ベルギーの経済動向

3.    ベルギーの産業動向

4.EUの動向

 

 

1.ベルギーの政治動向

(1)緊縮政策に6万人が抗議デモ

主要労組は、近日中に発足する連邦政府の緊縮政策案に反対し、6万人を超える参加者による大規模な抗議デモを展開した。参加者らは、一部国有化が決まっている銀行大手デクシアに公的資金が投入されることに対し、「銀行救済のために我々が犠牲になるのはおかしい」など抗議の声を上げた。                                    122日)

 

(2)ディルポ内閣が発足−1年半の政治空白が解消−

世界最長となる541日の政治空白を経て、6党が連立する連邦政府がついに誕生した。連立交渉を主導してきたワロン(フランス語)系「社会党(PS)」のエリオ・ディルポ党首(60歳)が首相に就任、ワロン系の首相は32年ぶりとなった。      126日)

 

<ディルポ内閣の主要閣僚>

○首相:エリオ・ディルポ(PS

●副首相兼財務・持続的開発相:ステブン・バナッケル(CD&V

○副首相兼外務・貿易・欧州問題相:ディディエ・レンデルス(MR

●副首相兼経済・消費者・北海相:ヨハン・バンデラノッテ(sp.a

●副首相兼年金相:ビンセント・バンクイッケンボルネ(Open Vld

○副首相兼内相:ジョエル・ミルケ(cdH

○副首相兼社会問題・厚生相:ロレット・オンクリンクス(PS

○中産階級・中小企業・自営業・農相:サビーヌ・ラリュエル(MR

●防衛相:ピーター・デクレム (CD&V

○公共企業・科学政策・開発協力相:ポール・マニェット(PS

●法相:アネミー・トゥルテルボーム(Open Vld

○予算・行政簡素化相:オリビエ・シャステル(MR

●雇用相:モニカ・デコニンク(sp.a

(注)閣外相(6人)を除く13人。○:ワロン地域(フランス語圏)の政党。●:フランダース地域(オランダ語圏)の政党。氏名の後に続く丸括弧内は所属政党。各党は、社会党(PS)、キリスト教民主・ブラームス(CD&V)、改革運動(MR)、別の社会党(sp.a)、中道民主人道主義(cdH)、ブラームス自由民主(Open Vld)。

 

(3)下院、ディルポ内閣を信任

ベルギー下院は、賛成89票、反対54票の賛成多数でディルポ内閣を信任した。20106月の連邦議会選挙に勝利しながら、見解の不一致により最終的には連立交渉から離脱したフラマン(オランダ語)系の中道右派「新ブラームス同盟(N-VA)」は、新内閣の支持を拒否した。同党のバルト・デウェーフェル党首は、ディルポ新首相をフラマン系住民にとっての首相とはみなさないと言明し、強硬姿勢を崩していない。     1210日)

 

(4)ルーマニア、ブルガリアへの労働市場開放を延期

連邦政府は、ルーマニア人とブルガリア人への国内労働市場の開放について、20111231日までの移行期間を2013年末まで延期することを決定した。   1216日)

 

(5)公共部門、年金改革に反対してゼネスト

連邦政府の年金制度改革案に抗議し、公共部門によるゼネストが実施された。ベルギー国鉄(SNCB)、バス、地下鉄などの運行がほぼ全面的に停止となり、交通網が麻痺した。改革案では、法定退職年齢は現行の65歳を維持するが、早期退職年齢を60歳から62歳に引き上げ、制度の利用も制限する内容となっている。               1222日)

 

(6)連邦議会、年金改革案を承認

連邦議会は、賛成多数で年金改革案を承認した。主要労組らは、労使対話が欠如し、交渉なしにあまりに早急な決定がなされたとして批判している。新制度は、2013年から摘要される。                                                         1223日)

 

 

2.ベルギーの経済動向

(1)11月の新車登録、0.2%減

201111月の新車登録台数は、前年同月比0.2%減の4440台だった。新規登録車の13.3%がルノーで、フォルクスワーゲン(11.5%)、プジョー(8.6%)がこれに次いだ。                                                                122日)

 

(2)成長率は0.5%に減速―2012年の経済見通し―

ベルギー国立銀行(中央銀行)は、秋季経済見通しを発表し、実質GDP成長率を11年は2.0%、12年は0.5%とした。6月の春季経済見通しでは、11年は2.6%、12年は2.2%としていたのを、それぞれ0.6ポイント、1.7ポイント大幅に下方修正した。        

                                                               1214日)

(3)ムーディーズ、ベルギー国債を2段階格下げ

米格付け大手ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、ベルギー国債の格付けを、上から2番目の「Aa1」から「Aa3」に2段階引き下げ、見通しを「ネガティブ」とした。ユーロ圏諸国の資金調達状況の悪化、ベルギー経済の成長鈍化、デクシアなど銀行救済コストによる財政悪化などを格下げ理由に挙げた。                     1216日)

 

(4)11月の失業手当受給者数、412,097

201111月の求職中の失業手当受給者数は412,097人となり、前月比4.0%減少(前年同月比では3.7%減少)した。                                 1221日)

 

(5)12月の消費者物価、3.5

連邦経済省は、201112月の消費者物価上昇率は前年同月比3.5%と発表した。前月に比べ0.4ポイント下降した。                                     1222日)

 

 

3.ベルギーの産業動向

(1)ユミコア、光学用ゲルマニウムの生産工場を米国に統合

非鉄金属大手ユミコア(Umicore)は、光学用ゲルマニウムの生産工場を米国のオクラホマ州のクワパウに統合することを発表した。これにより、フランダース地域のオレン(Olen)に構える光学用ゲルマニウムの生産工場の稼動を今後18ヵ月間で段階的に停止し、米国に生産を完全に移すことになる。米国以外の市場で光学製品の需要が落ち込んでいることから今回の決定に至った。                                127日)

 

(2)デュラセル、リストラ計画を発表

米国の電池製造大手デュラセル(Duracell)は、フランダース地域のアースコット(Aarschot)に拠点を構える工場に勤務する労働者750人を、今後2年間で296人削減すると発表した。今後、同工場はAA-AAA-電池のみを生産し、他の種類の電池は他の工場で生産する。                                                    129日)

 

(3)欧州委、デクシアに対する3カ国政府による短期保証を暫定承認

欧州委員会は、フランス・ベルギー系金融大手デクシア(Dexia)に対する、ベルギー・フランス・ルクセンブルクの3ヵ国政府による最大450億ユーロの短期保証を暫定的に承認した。欧州委は3カ国政府が短期保証を与えることで、デクシアは3ヵ月以内にリストラなどの計画を策定することが可能になるとしている。             1221日)

4.EUの動向

(1)EUの成長率、前期比0.3%−11年第3四半期−

EU統計局(ユーロスタット)は、EU27ヵ国の2011年第3四半期のGDP成長率(前期比、季節調整済み)を0.3%と発表した。ユーロ圏17ヵ国の成長率は0.2%だった。国別では、ドイツ、フランス、英国などのEU主要国が前期からやや持ち直したが、デンマーク、オランダ、キプロス、ポルトガル、スロベニアは前期比マイナスとなった。         

                                                                126日)

 

(2)欧州委、VAT課税制度の改革を提案

欧州委員会は、付加価値税(VAT)課税制度の改善案を発表した。登録・申告の簡素化、制度の効率化、脱税対策の強化を主な柱にしている。EU加盟国間で格差のあるVAT制度は域内貿易の障害になり、余分なコストを生じさせている。国際ビジネス促進のため、より簡素で透明性の高い、効率的な制度が必要なことをあらためて指摘した。2012年から見直しに着手し、13年には詳細な勧告を提案する見込み。               126日)

 

(3)冷却用コンプレッサー製造4社にカルテル制裁金−和解手続きの適用は5件目−

欧州委員会は、冷却用のコンプレッサー(圧縮機)製造業5社によるカルテルについて、うち4社に対し総額約16,100万ユーロの制裁金を科すと発表した。今回は和解手続きが適用された。20105月に初めて適用されてから5件目となり、積極的に利用されているようだ。                                                      127日)

 

(4)日本、インドとのFTA交渉推進が優先課題に−12年上半期のEUの貿易政策−

2012年上半期のEU議長国を務めるデンマークのピーア・オールスン・デューア貿易投資相は、欧州委員会のドゥ・グヒュト委員(通商担当)と合同記者会見を開き、EU12年上半期の貿易政策上の優先課題を発表した。経済危機脱却に向けた取り組みを中心に据え、日本、インドとの自由貿易協定(FTA)交渉など4項目の重要課題を挙げている。 128日)

 

(5)ユーロ圏17ヵ国が新「財政協定」締結で合意

ユーロ圏17ヵ国は、欧州理事会で、財政規律を強化する財政協定を政府間協定により締結することで合意した。非ユーロ圏10ヵ国のうち、英国を除く9ヵ国も同協定に参加する見通し。「財政・安定連合」に向けた中期的な措置を進める一方、短期的には、IMFへの追加融資による緊急時の救済枠拡大や欧州安定化メカニズム(ESM)の1年前倒し設立など、今できることを総動員する決定を行った。                    128日)

(6)欧州中銀、2ヵ月連続で政策金利を0.25ポイント引き下げ

欧州中央銀行(ECB)は政策理事会で、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.25ポイント下げ、1.00%とした。ECB11月に続き2ヵ月連続で引き下げた結果、政策金利は4月の引き締め政策導入前の史上最低水準に逆戻りした。   128日)

 

(7)クロアチア、EU加盟条約に署名

クロアチア政府は、欧州理事会でEU加盟条約に署名した。全加盟国の批准を経て、28カ国目となる20137月の加盟実現を目指す。                       129日)

 

(8)EU、リヒテンシュタインのシェンゲン協定参加を承認

EU は、加盟国などが国境審査を廃止し、パスポートなしで移動できるようにする「シェンゲン協定」にリヒテンシュタインが参加することを承認した。これによりリヒテンシュタインは19 日に協定に加わる。協定参加国は26カ国に拡大する。  1213日)

 

(9)欧州委員会、エネルギー・ロードマップ2050を発表−高まるRE需要−

欧州委員会は、2050年までに温室効果ガス(GHG)を1990年比で8095%削減するための「エネルギー・ロードマップ2050」を発表した。エネルギー効率化、再生可能エネルギー(RE)、原子力、二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)の4つの主要な脱炭素化手法の組み合わせによる7つのシナリオを提示し、加盟国に対し、EU全体の政策への整合性を踏まえた上で、各国に適したエネルギー政策を自身の責任で選択するよう求めている。                                                               1215日)

 

1011月のユーロ圏物価上昇率は3.0%で横ばい−EU27ヵ国も3.4%を維持−

201111月のユーロ圏17ヵ国の物価上昇率(前年同月比)は3.0%で、前月から横ばいだった。EU27ヵ国も3.4%を維持した。                           1215日)

 

 


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